It's a Wonderful life

素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

素晴らしき哉、人生!【淀川長治解説映像付き】 [DVD]

1946年のアメリカ映画『素晴らしき哉、人生!(It's a Wonderful life)』を観た。家に持って帰れないことを除けば、マルチメディアライブラリさまさまである。
アメリカのクリスマスでは毎年必ず放送される定番映画。日本で年末に忠臣蔵をやってるようなものか。内容は違うけど、ある意味、それぞれの国なりの美学というか、美しさみたいなものをストレートに、クリスマス/年末の浮かれた視聴者に再認識させてくれるという意味でも、似ていないこともない……中身じゃなくて立場がね。


誠実に生きてきたローン会社の息子、ジョージ・ベイリーが、自分の身にふりかかる絶望のあまりの大きさから自殺を図ろうとし、それを阻止するために2級老天使のクラレンスが、“もしジョージがこの世にいなかったら”というIfの世界を見せ、ジョージに自分自身の存在意義を教えてやる、という物語なのだが……盛大にネタバレしたね、ごめんなさい。
最後の終わり方なんかいかにもハッピーエンドで、このノリで忠臣蔵をやったら全員生き残ってるような、そういう手のひらの返しっぷり。それでいいんだよ、そういう無理矢理でもハッピーな気分でクリスマスを迎えたいんだよ、だからきっとクリスマスの定番になってるのさ。


うーん、「もし自分がいなかったら」という世界の設定にしては、時代もあるし(まだ近代SFだのタイムパラドックスだのという考え方が一般的になっている時代じゃない)、比較的シンプルではある。でも斬新じゃない? 自分がいない世界なんて仮想現実を見られる映画なんだよ……。
マジレスすれば、自分がいなくても他の誰かが自然と代わりになって未来に対して影響がないように動いていくと思うけれど、それでもジョージにしか出来なかったことがあったよね。ガウアーさんの薬の話なんかまさにそう。住宅ローン会社がつぶれるかどうかも、そうなのかも。
人が誰かに必要とされていると感じられることは、人間ならではの大きな喜びだと思うし、やっぱりそれを俺たちに気付かせてくれるから、この映画は名作なのかな。在り来りなオチでスイマセンm(_ _)m