Be Born Earlier

さて。最近mixiでは俺は真面目に文章を書く一方で度を超えた悪ふざけに走ったりと暴挙にいとまがありませんが、今回はかなり真剣な話。経済学部うんぬん以前の個人的なライフワークの話です。

今回こそ読み手にとっては誰得?理解できる人自体少ないだろう。医学部だから分かるとかそういう問題でもなさそうな希ガス
これにコメント入れられる人っているのかね……。

まずはこの記事を見てください。朝日新聞の記事ですが。

「低体重児、成人後の健康状態は? 厚労省が本格調査へ」(朝日新聞、2010年7月21日3時1分)

これは俺がこの10年以上ずっと考えていたことの一つ。自分自身のことですからね。
まだ俺と知り合って日の浅い人もいるからこの話はしてもいいのかどうか迷いましたが、まあいずれ一度きっちり文章化しておかなきゃいけないですしね。
付き合いの長い人でもちゃんと知ってるのはせいぜいバギーともりまくらい?あんたらにもらった手紙とかまだ残してるわ。


というわけでこれに関する話をしましょう。先にこの記事を読んでおいていただけると助かる。


どこから話そう。完成したイメージはできてるんだがどこから話せばいいのやら。
えー、わたくし1992年2月21日生まれでございますが、学年を繰り上げて本来の予定日より3ヶ月ほど早く生まれました。出生時の体重は約1500g。
このニュースにドンピシャで当てはまります。未熟児による弊害もやっぱり回避しきれず、結局今は脳性小児麻痺と未熟児網膜症を抱えてますね。どちらもさほど重度ではない(重度とはどれくらいかっていうのを知ってるから……)ですが。
脳性小児麻痺の具体的な症状は、内転・内反足と、臼蓋形成不全、あとアキレス腱の硬直、おまけに左手小指の麻痺。完治したのは亜脱臼だけで(骨絡みだからいじれば治る)、あと2つは脳のバグみたいなもんなんで一生付き合っていくもんです。左手のは本当におまけですが、日常生活はもちろんピアノやらギターやってて困るレベルですらないので放置してます。


このニュースで取り上げられているなかでは「脳性まひ」「視覚障害」ですね。逆に幸運にして「知的障害」「てんかん」などはありません。でも本当にこれに苦しんでる人いますからね。社会的影響も出ますし(後述)。
脳性麻痺の人に対するイメージっていうと、やっぱり車椅子に乗ってる人とか、重度の人だとひとりで自立生活、例えば普通に飯食ったりが出来ない人を想像すると思う。イメージ自体は別に間違ってはいない。俺もそういう人を何人も見たし、俺のケースと大きな意味での差はないです。仕組みというか、原因というか、根本的なところは同じ。
俺は一応自分自身のことは“軽度”として捉えています。その根拠は、どうにかこうにか一般人として、健常者と同じように社会生活を営むことが出来ているということ。人並みに勉強出来、今のところ大学まで来られた。それは俺自身にとってある意味では当たり前のことかもしれないけれど、ある意味では紙一重のことだったんです。
自分の頭のCTスキャンとかMRIとか、みんな見たことがあるもんですか?自分は守山で(脚注:守山というと全て滋賀県守山市の小児医療保健センターをさします。成人病センターの近くやね)撮ってもらって見たことがありますが。確か小脳だったと思うけれど、運動中枢のほんの一部が画像では少し白く濁ってるんです。それが今の運動障害のすべての原因なわけだから間抜けな話でしょう。実際にはその部分が壊死してたのかな?壊死までしてたらアウトかな。


まあそのせいで、今までの人生で述べ1年以上入院してますね。治るもんじゃなくて進行を食い止めるもんだから、なんか安っぽく『闘病記』とか言ってしまうのは俺は嫌いなんですが。でもいろいろやりましたよ。股関節の臼蓋を増築(嫌な言い方だな)するために骨盤の骨を切ってボルトで臼蓋に継ぎ足したりとか、アキレス腱の延長、あと膝裏の末梢神経を削ったりね(いわゆる脳のバグを途中で緩和するため)。とくに股関節治療は大きな手術を2回(ソルター手術、両足)守山でやってますが、まさかの寝たきりギプス生活です。もう8年も前(2002年5月〜と12月〜)の話になりますが、昔から付き合いのある人は知ってるし、もりまとバギーが見舞いに来てくれたのも覚えてる。
その前年の2001年末には東京女子医科大学脳神経センターで(当時そこしかやってなかったww)膝裏の末梢神経縮小術もやりました。そのせいでもりま家主催のクリスマスパーティーに行けなかったという苦い思い出がww
その東京と守山にいた頃にもりまやバギーがよこしてくれた手紙や、小学校のクラスからもらったメッセージなんかは、向こうで貰った物と合わせて今でも俺の宝物として残してあります。

内訳。
1996年 アキレス腱延長@聖ヨゼフ整肢園
2001年 末梢神経縮小術@東京女子医大脳神経センター
2002年 ソルター手術×2@小児医療保健センター
2003年 ソルター手術抜釘+アキレス腱延長@小児医療保健センター
合計入院期間1年超!

今は体育は年々みんなに追いつけなくなってた以外はかろうじて普通に生活できてますね。とりあえず速さやスタミナ、関節の痛みやすさを度外視すれば走れる。ロングランは4kmくらいが限界です。足が弱いからといって鍛えられないのも、鍛える前に関節に痛みが来るからなんです。
まあ、靴選びが大変とか、靴がすぐ偏磨耗するとか、サンダルが靴擦れするとか、足の皮がすぐ剥けるとか、そういうのはあるけど。チャリでは暴走し、田辺坂も毎日歩いてる。寺町通りで遊んだりも人並みにできるのは、昔の自分からは想像もつきません。まあ足動かない⇒運動めんどくさい⇒外で遊ばない ⇒ますます足動かない、の無限ループから、中学の卓球部、高校の通学と自転車、大学の田辺坂などで完全に脱出できたのもあり、一応走れるし人並みに歩ける。フォームが良くないのでさすがに隠し通すことは出来ませんが、もうこの歳だと突っ込まれたりほっとかれたりですね。酒に酔ってると思われたのはさすがに意外でしたが冷静に考えたらそう見える。俺は酔うと普通の人以上に千鳥足になるので酒は飲み過ぎないに限ります。


さて。変なオチをつけてここまで書き連ねたうえで、ニュースの話をしますか。


厚労省がついにやってくれますね。GJ。この秋から1年間調査開始して、そこから結果の分析などをやるのでざっと2年くらいかかりそうですが。それでもこの調査は俺に撮ってものすごく大きな意味を持つ。頼むから事業仕分けの対象にはしないで欲しい。

 小さく生まれると、知的発達の遅れや視覚障害が出るほか、生活習慣病のリスクが高まる可能性が指摘されている。

mjd?俺そんなリスク背負ってたの?これは完全に初耳です。

 今秋から1年かけ、新生児集中治療室(NICU)がある約100カ所の病院に協力を求め、1990年前後に1500グラム未満で生まれた人にアンケートを 行う。対象は推計約4千人。

俺、見事に対象かも……年代とか見事に一致してるし、ひょっとしたらアンケート俺のとこに来るかも。来たらまた書きますが。
これに協力できるなら俺にとっては嬉しいことです。新生児死亡率が減った分だけ未熟児は増えていますから。未熟児でも生き延びられるようになったことは確かに嬉しいことですが、それなりに問題も出て来ていると。だからといって死なせてしまうのは論外ですが、俺の言ってることも一理はある。だからこれから生まれてくる子供の役に立つのなら喜んでアンケートくらい書きますよ。

 現在の体格や思春期の時期、これまでの健康状態、自分をどう評価しているか、健康上、社会生活上で何か問題はあるか、などを尋ねる。共通の問題点があれば、来年度以降、健康診断も含め、本格的な調査を始める。

現在の体格:平均よりも小柄、ただし問題はない。
思春期の時期:終わった。発情期はいつでも。
健康状態:このへんが原因の健康不安はないです。
健康上・社会生活上の問題:どうにか一般人に溶けこんでます。
例えば俺ならこういう答えになるわけですが、この「自分に対する評価」ってけっこう重要なんですよ。障害の程度や育ってきた過程によっては、コンプレックスを感じて自分自身に対して卑屈な評価を下してしまうケースもありますし。

  ただ、成人後に影響が残るかは、はっきりしない。米国の研究で、高校進学率や妊娠率も低いという調査結果がある一方で、カナダでは進学率や就職率、既婚率とも差がなく、「幼少時の障害は克服可能」との結果も出ている。

うーん、これも程度によるんですよ。障害が結婚における障壁になることって実際にあるしね。未熟児の病気なんてピンキリやし。障害を持った人が結婚出来ないとか、してはいけないとか、そういう意味では当然ないけど。なんて言うのかな……もし健常だったら成立していたであろう結婚でも、障害によってご破算になることがある、ということか。
就職率も業種による!バイトですらそう。俺ブックオフの面接の時どれだけ渋られたか!
図書館の方はきっちり説明した上でOKもらって採用されています。明光義塾は業務内容に関係ないので言ってません。
要するに、例えば普通の教職ならいらないし、事務職でもいらないかもしれない。でも肉体労働系は俺の身体じゃついていけないし、ひょっとしたら営業職でも言わなきゃいけないか迷うところ。しかも俺はこのへんの判断は自分でやらなきゃいけないしね。自分の足のことは自分が一番よく分かってる。今は別に病院とか行ってないしね。
それをもっといろいろなケースに当てはめればどうなるよ。一般企業で普通に働くことができない人もいるし、障害者枠で採用される人もいるし、作業所みたいなところに行く人もいる。働けない人も、もちろんいる。
脳性小児麻痺に絞って話をしてたけど、未熟児全体で見ても同じような結果になるんじゃないかな。逆にカナダの例はどういうケース?ごく軽度の人までガンガン入れればカナダの、重度の人などに着目したらアメリカの結果が出そうではある。

とまあ、こんなところか。4000文字を超える文章になってしまった。
あくまでここに書いたのは一般的な話で、俺個人の話とは必ずしも一致しないです。
就職・結婚できなかったら俺自身の責任ですww


最後に、お世話になった先生方のページ。
皆さん元々は守山に努めていらっしゃいましたが、今は転勤されたり独立されたりで違う運命をたどっていらっしゃいます。でも守山とも絶賛連携中です。すべてのページが互いに完璧に相互リンクってのが何よりもの証拠。
小児整形外科の分野では間違いなく日本最高の先生方です。守山にいはった頃から、先生方の手術を受けるために日本中から子どもが集まってましたからね。それこそ大学かと思うくらい。
今回は俺自身の病状の参考資料としても利用させていただきました。本当にありがとうございました。
滋賀県立小児保健医療センター小児整形外科 (http://bit.ly/9SgWE1

鈴木茂夫先生・水野病院整形外科勤務(http://bit.ly/buK6xs)
高瀬年人先生・医療法人たかせ医療外科(http://bit.ly/9rcISW)
瀬戸洋一先生& 柏木直也先生・スカイ整形外科クリニック(http://bit.ly/cBN751)