アウリヴェルジを掲げてウイニングラン

大阪大学経済学部、前期試験が終わりました。

ベストは尽くした。「やってしまった!」みたいな致命的なミステイクもないと思う。少なくとも自覚はない。だからもう知らん。悔いもないからあとは神様か大学様が決めてくれるさ。
アウリヴェルジ(Auriverde;金と緑)とはブラジル国旗のことです。それを掲げてウイニングランというのは、F1で1993年のアイルトン・セナや2006年のフェリペ・マッサが達成した、ブラジル人によるブラジルグランプリ優勝達成のことを差しています。どうしてこんなタイトルを付けたのかというと単純に燃え尽きたからです。いわゆる達成感。やり遂げた心境がこのアウリヴェルジランを連想させたというだけです。
自分自身への信頼感を失わずに来たからある程度の安心感はあるんですが、勝負は……時の運とまでは言わないけれどやっぱり変数的な部分があるから不安感不信感は拭えません。そんなチキンな自分自身に嫌悪感を抱いているのは俺の正義感が強いからでしょうか。親近感も清涼感もリズム感も透明感もこの際どうでもいい。絶望感はありませんが脱力感と解放感が全身を包み込んでいます。


最初の試験は数学だったんですが、やっぱり緊張していたんでしょうか、手が震えて受験番号が書けないんでやんの。その後もしばらくは綺麗な字が書けなかった。問題もパッと見で解法がポンポン出てきたわけじゃないですが、根気強く数式やグラフと格闘したら何とかなりました。爆死だけは回避できた。


英語は大丈夫です。京進でどれだけのキャリアを積んできたとお思いですか。気がつけば百戦錬磨になっていたので、そう簡単に負けはしません。全体を一周グルッと回って解いたら丸1時間。和訳は終盤に大きくリテイクしましたが結果的には気付いて正解でした。明らかに書き直した方がいい和訳です。長文は一番大したことなかった。近年の阪大はレベルが下がっている。というより阪大だからといってビビる必要はまったくなく、地方国公立が時々泣きたくなるような問題を出してくるのに比べたらチョロい。だから差が付かないかも。自由英作文はサジェスチョン⇒エクスプレネーションの流れに乗ってスイスイ書き進めました。動名詞(目的語付き)を主語に据えてしまいましたが(be動詞の補語よりはマシだわな)、下手に文法の分からない名詞形にして爆発するよりは戦闘力は高そうに思います。英訳もいつも通りノリと勢い、語彙や文法テクニックが分かれば使うし、知らなければ言い換えてかわす。本当に、いつも通りの英語でした。


国語。これは解いた順にお話ししましょう。
古典は近世のおもしろ物語では定番の定番、『宇治拾遺物語』から帝釈天[たいしゃくてん]と天竺の留志[るし]長者の物語。『古本説話集』下巻56、『今昔物語集』3巻22にも同じ話が掲載されているそうです。コレは俺の読み通り、昨年の『俊頼随脳』(1113?)の反動で江戸時代の物語に戻ってきました。
現代文大問?、村田純一『「わたし」を探検する』。大問?、高橋悠治『音楽のおしえ』。普通は片方がテラ難解wwオワタwwwwで、もう片方が分かりやすくて解き甲斐のある文章なんですが、今回は両方とも難しかったような気がします。緊張していたんでしょうね。ちなみにイージーなのは意外にも?です。社会的側面から考える自身の死、決して現在形で語れないはずのそれを捉え直すことで自己存在を変換・昇華させるという、俺の嫌いなハイデッガーのお話。有名なドイツの哲学者ですが、後に道元親鸞について学び、軟異抄英訳版を読み、明治の芸術発展に尽力した岡倉天心の『茶の本』なる著書から思想を盗み出しドイツ語化して自分のものにしてしまったような人です。ちなみにそのハイデッガーの“死の先駆”を村田純一はサルトルの思想でもって否定しているんですが。ちゃんちゃん。
大問?、これが音楽の話題にもかかわらず鬼畜。音楽をことばで描写したり、ことばを音楽で伝えたりすることに何の問題が??ことばは意味を発言者が(一定の言語のルールの中で)決めるけど、音楽の意味は聴衆が決める。音楽から意味を引き剥がした残りが輝く??典型的な自己満足論説に見えて仕方がない。


というか、問題そのものは予備校のホームページを見てください。俺がいくら口頭で説明しても、百聞は一見に如かずというやつで。


5時過ぎに出て来た時には既に駿台が数学の解答速報作っててワロタ。こういうところはちゃっちゃとやるんやね。俺は見たくなかったのでもらいませんでした。やっぱりビビっているのか?


知っている人をトータルで5人くらい見ました。知らないヤツばかりの中で会うとホッとします。普段取り立てて仲が良いわけではなくても、こういう時に挨拶ひとつ交わしておくとお互いリラックスして受けられる。


不動産屋のティッシュ配りが強烈すぎてウザかった。何社が何十人動員したんだよ。着ぐるみチンタイガーまで引っ張り出しやがって。予備校のティッシュ配りはあれか、暗に「落ちたら来てね(はぁと」っていうメッセージを込めているのか!?被害妄想だろうけどさ。


試験2日間の方々もお疲れさまでした。2日目は雨で大変だったと思いますが、風邪などひかれないようにお気をつけくださいませ。俺は力が抜けて若干体調を崩してしまったようで、軽い風邪をひいたかもしれません。


しかし、世の中の半分以上は名前書けば入れるようないわゆるFランク大学だというのに、俺たちは一体何をやっているんでしょう。まあ同志社がつぶれることはありえないけど、得体の知れないボンクラ大学の中にはもう閉校が決まっていて募集をストップしていたりするところもありますし、アホすぎて授業が成立していないところもある。いくら勉強が苦手だからといってもそこまで身を落としたくはないので(勉強がめっちゃ苦手でも真面目な奴って、割合だけで言えばやっぱり多くはないと思う……立派な人ももちろんたくさんいるけれど)、自分を高めて、より深みのある人間になるために大学に行くという至極当然、かつ崇高な目的・目標があるのならば、何だかんだで今の自分の位置がちょうどいいのかな、なんて思ったりもするので案の定堂々巡りっと。
でも、学問に限らず、スポーツ、武道、職人的技術、芸術(←評価基準が難しいけどコレも職人的技術の一環?)などなど、何かひとつのことを真面目に頑張っている人は総じてみんな真面目ですよね。それを言っとくのを忘れたぜ!
それは確かにそうなんですが、殆どの人間は何かひとつだけのことをやって生きていくことは出来ない。極端な例として亀田3兄弟がいますが、親父には中学にも全然行かせてもらえなかったとか、やっぱり苦い代償を払ってボクシングをやっている。そういうことは普通に社会生活を送っていく上ではまず不可能。だからこそいろんなことを経験して、教養と経験の多い人間になるというのも、またひとつの生き方として理想であろうと思うのですが、当たり前の話でごめんなさいね。


でも、スポーツさえ出来ていれば何しても許される、みたいな風潮もある。それを論じてもプロセスもオチも見え見えなのでたまには気分転換。
浅田真央は特別ファンというわけでもないですが、よく見たらなかなかちゃんとしゃべりも出来る人ではないか。もう二十歳近いから当然と言えば当然だけど、やっぱりしっかりしている方だ。自分の考えや感情、技術的な部分も明確に理解して話せる。たまにスポンサーへの配慮を忘れたり、脊髄反射的に質問に答えて天然ボケを炸裂させているところを見かける時はあるけど、悪意があるわけでもないのでしばらくは大丈夫そうだ。
石川遼も素晴らしいと思う。話している英語は至ってシンプルだが的を外していないし、日本語での受け答えも誠実である。以前、観客のシャッター音やフラッシュにキレて怒鳴ったことがありますが、明らかに観客のマナーが悪い。賛否両論あったけど、「俺ならもっと早くにキレてる、遼くんは偉い方だ」という意見には賛成。普通はパットの時なんか、ボールの軌道の向こう側に立つのもご法度だから(気が散る)、一緒にコースを回っていれば視界から外れてやり、観客は静かにしてやるのが筋ってもの。それをTPOもわきまえずにパシャパシャやってたら、そりゃ怒りますわ。


少し宙に浮いています。精神的に。物理的な空中浮遊は某教祖様で間に合っていますからね。今まで突っ走ってきたはいいものの、これから何をすればいいのか、よく分からない。後期試験の可能性もあるけど、別に英語ばっかりやるわけでもなし。書きたいものはあるけどまだ書きにくいし、曲も作りたいけど楽譜ノートにいちいち手書きするしか方法がない。デスクトップミュージックのソフトとシンセサイザー巡音ルカが欲しいよー……でもSquierのStratocasterも欲しいと思ってるし、何よりもまず6畳のマイルームには置き場が無さ過ぎる。多趣味ってのもなかなか厳しいもんです。
数日後には卒業式、そしてみんなとの別れが待っているんですね……そう思うと本当はひとりひとりの自宅まで回ってお礼と感謝の言葉を懇々と申し上げ続けなければならないのかもしれませんが、きっとまたここでご挨拶に代えさせていただくことになるのでしょう。膳所高内でどれだけの方々がこのTake Fiveを読んでくださっているのかはまったく分かりませんが、たとえ誰一人読んでいなかったとしても俺は感謝の言葉を述べなければならないし、いや、他人に強制されてやるものではなく、むしろ自発的に、感謝したいからやるんですよね。


最後だから、いい別れにしたいです。
まずはしばし、成人式までということになるのかな。