旅は道連れ世は情け

愛知川の西堀栄三郎記念館・探検の殿堂に行ってきました。

図書委員会研修旅行への参加であります。膳所に高校があるのに朝9時半に草津駅集合。地元民にとってみれば嬉しいけど……まあ地理的に適当ではある。
引率の先生含めて10人、なかなかいい感じの人数やと思う。少なすぎると寂しいし多すぎると行動が大変。ちょうどいいね。

朝のJRで北上すると人は全然いません。みんなと逆向きに動いてるってのはこういうことを指すんですな。
近江八幡から近江鉄道に乗り換えると……2両編成の車両の揺れ方とかホームとの段差とか、いかにもローカル線!!っていう感じ。八日市までずっと単線で、駅でうまくダイヤをすり合わせて待機しながらすれ違うって知ってた?
膳所高にも八日市から来てる方はいますが、ああいった町からはるばる毎日通っていらっしゃるのだと思うと頭が下がります。信楽高原鉄道に続いて日本で2番目に高い運賃を誇る近江鉄道に乗ってくる辺りもね。
蛇足ですがあの辺りは物件は安かった。でも生活の利便性や交通費を考えれば十二分に元が取れると思うのよね。


しかしながら愛知川とは言え近江鉄道愛知川駅からは行きません。無人駅やしバスの利便性なども保証しかねる。八日市だって丸2時間バスが来ない時もあるんだから神経を使います。多少のタイムロスは楽しみながら覚悟するくらいじゃないと多分暮らせない。
だから八日市駅からバスに乗りました。愛知川も渡ったよ。一律220円の優しさは近江鉄道とはまるで正反対!マイクロバスだったけど帝産バスだって昼間はマイクロバスだからお互い様ですね。



探検の殿堂のウリは何と言っても南極体験!!マイナス25℃の世界だからバナナで釘は打てるし、濡らしたタオルは凍り付くし。現地で借りた防寒着(めちゃくちゃごっぽりとしたオレンジ色の越冬隊ジャンパー!)も敢えて脱ぎました。フード付きTシャツとベストだけです。夏場だからこそまだ可能な荒技。でも一番冷たかったのはでっかい耳だったりします。
何と何とブリザードまで吹いた……足元の冷えやすい格好だった人は確かに寒そうだったけど、ジーンズでもあんまり大差ないです。ジーンズそのものが冷たいんだから関係ない。むしろ持って行ってたペットボトルのお茶を積極的に凍らせにかからなかったことが悔やまれます。あと出たときに眼鏡とデジカメのレンズが尋常でないくらい曇りました。カメラはしばらく使い物にならなかった。

湖東図書館が数年前にリニューアルされたのでそこも行ってみたんですが、適度な広さと適度な人、静かさが魅力的でした。天井が高かったから開放感があったのよね。
時間が多少あったから自分の家のルーツを調べてました。こういう情報はGoogleWikipediaでは調べにくいからね。

八日市まで戻って解散。
以前から話を聞いていてずっと行きたいと思っていた場所に行けて貴重な体験でしたね。場所的にもこういう機会をいただかないと行きにくいし。しかも真夏のクソ暑い日にタイムリーにこんな涼しい(←モノは言い様である)場所に行かせていただけたってことも素晴らしい。本当に感謝します。


さて、2次会です。八日市から彦根方面に電車に乗って行ってきたのは最近話題の桜高、改め豊郷小学校。これだけのために行くことはほぼ不可能なので思い切って足を伸ばすために電車と調子に乗りました。
元々の校舎取り壊し問題の頃から興味があったってのは嘘ではないですがある程度建て前ではあります。そりゃあ異常なほど流行ってるアニメの舞台が県内とあっちゃあここまで来て行かない選択肢はないでしょう。


噴水とか講堂とか銅像とか、普通の小学校が備えていないはずの設備が積極的に取り入れられてました。さすが名建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ八幡商業高校の本館もヴォーリズ設定だって?うらやましい。
田舎だからっていうのと風通しの良さ故か、かなり涼しかった。俺の中学校もあんなに涼しくて快適ならもっと賢い学校になったのかもしれません。


4階の音楽室だけが異空間と化していました。黒板には巡礼者の落書がびっしり……しかし机にティーセットが設置されていたり、スコアやドラムスティックが置かれていたり、ラミネートされた(だと思うよ)イラストが貼られていたり、地元ボランティアさんとかが盛り上げようと頑張ってくださってる姿がまぶたの裏に浮かんだ。今度の日曜日にもまた大規模な何かをやってくれるらしい。

実は今は小学校としては使われてなくて、改修を受けたあとで豊郷町立図書館やシルバー人材センター教育委員会などに転用されています。
図書館は湖東図書館とはまた違った趣があった。蔵書量は大したことないんだけど、田舎の図書館の“親しまれている”雰囲気があった。
講堂もなかなかお目にかかれない建物でした。だいたい“講堂”という建物自体少ないですからね。全部木造で、かつてここで学んだ生徒たちの姿が思われました。これは札幌時計台(後述)でもそんなことを思った記憶があります。


そういえば駐車場に痛い車が来てやがりましたね。ほぼ間違いなく聖地巡礼者かと思われ。リピーターもけっこういるという噂を聞いた。俺達はそういう人間に見えないようなマトモな服装で行動してるつもりです。


元々俺は建築物は素人の割には好きです。それは草津市役所の螺旋階段だったり、小浜市立小浜小学校旧校舎の円柱形校舎だったり、札幌時計台の時代感であったり、岐阜県高山市の旧高山町役場(現高山市政記念館)の持つ雰囲気だったり、あるいは草津宿本陣なんかでもいいんです。人の少なさゆえにその建物が持つ静かな空気とか、木材そのまま或いはワックスの塗られた木の質感とか、夏なのに涼しい風通しの良さとかね。そういうちょっとした非日常的異空間に身を置くことが好き。

帰りは大雨でした。昼間はちょうど良く晴れて研修旅行自体はうまくいって良かった。アフターに関しては自己責任ですからね。
うーん、また行きたいかな?少なくともあの涼しさがある意味衝撃的でした。俺たちは普段から都会に出よう出ようとしますが、たまには田舎へと足を伸ばすのも悪くないと感じた今日1日でありました。